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【漢方の副作用】甘草(カンゾウ)の摂り過ぎで起こる「偽アルドステロン症」とは?
「漢方薬は自然由来だから副作用がなくて安心」と思っている方は少なくありません。しかし、漢方薬も正しく使わなければ思わぬ副作用が出るケースがあります。
その代表例とも言えるのが、多くの漢方薬に含まれる「甘草(カンゾウ)」という生薬の摂り過ぎによって起こる「偽(ぎ)アルドステロン症」です。
「甘草(カンゾウ)」と「アルドステロン」って何?
1. 甘草(カンゾウ)とは?
甘草は、漢方の世界で最も頻繁に使われる生薬の一つです。主な役割としては、体に元気をつける「補気薬(ほきやく)」として使われたり、複数の生薬の仲良く調和させる「調和薬」として使われたりします。その便利さゆえに、なんと日本の医療用漢方薬の約7割にこの甘草が含まれています。
2. アルドステロンとは?
アルドステロンは、私たちの副腎(腎臓の上にある臓器)から分泌される大切なホルモンです。体内の塩分(ナトリウム)と水分を蓄え、余分な「カリウム」を尿として排出することで、血圧や体液のバランスをちょうどいい状態に保つ役割を持っています。
甘草による「偽アルドステロン症」のメカニズム
では、なぜ甘草を摂り過ぎるとトラブルが起きるのでしょうか。
原因は、甘草に含まれる「グリチルリチン酸」という成分です。 この成分が体内の「コルチゾール」という物質の分解を阻害します。分解されずに溜まってしまったコルチゾールは、「アルドステロン」と同じような作用をしてしまうのです。
体内のアルドステロンの量は増えていないのに、まるで増えすぎてしまったかのような状態になるため、「偽(ぎ)アルドステロン症」と呼ばれます。
この状態になると、体は以下のようなサインを出し始めます。
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水分と塩分を溜め込みすぎる ➡ 体がパンパンにむくむ、血圧が上がる、頭痛がする
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カリウムが減りすぎる ➡ 手足にしびれが出る、体に力が入らない(脱力感)、筋肉痛、足が異常につる
どれくらい飲むと「偽アルドステロン症」になる?
一般的な医療現場の基準では、「甘草として1日2.5g」を超えると、この偽アルドステロン症のリスクが少しずつ出てくると言われています。
例えば、こむら返り(足のつり)の特効薬として有名な「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」には、1日量として6.0gもの甘草が含まれています。基準値の倍以上ですね。
「そんなに多く入っていて大丈夫なの?」と不安になるかもしれませんが、過度に怖がる必要はありません。
僕のこれまでの経験でお伝えすると、芍薬甘草湯などの単剤(1種類だけ)を適切に飲まれている方で、明らかな偽アルドステロン症の重い症状が出たケースには、今のところ出会ったことがありません。(※ご本人が医療機関を受診するほどではない、ごく軽度の「言われてみれば少しむくむかも」といったレベルはあったかもしれませんが、深刻な状態になった方はおられません)
一番危ないのは「漢方の併用(飲み合わせ)」
1種類の漢方薬だけで偽アルドステロン症が起こることは稀です。多くの漢方薬に含まれる甘草の量は、1日1〜2g程度と少なめだからです。
しかし、「複数の漢方薬を自己判断で組み合わせて飲むとき」は、本当に注意が必要です。
例えば、「風邪気味だから」と葛根湯(甘草2g含有)を飲み、さらに「胃の調子も悪いから」と安中散(甘草1g含有)を飲み、夜に「足がつったから」と芍薬甘草湯(甘草6g含有)を飲む……。
このように良かれと思って何種類も重ねてしまうと、1日の甘草の合計量が9gなどになってしまい、偽アルドステロン症のリスクが一気に高まります。
もし症状が出たら?知っておきたい「予後」の話
もし、漢方薬を飲んでいて「むくみがひどい」「手足に力が入らない」といった初期症状が出た場合、原因となっている漢方薬の服用をすぐに中止してください。
基本的には、原因薬を止めれば症状は自然と回復に向かいます。ただし、体から失われてしまったカリウムの量を元に戻すには、意外と時間がかかります。数値が安定するまでに2週間以上の時間を要することも珍しくありません。
また、ごく稀ではありますが、カリウムの不足を放置して重症化させてしまうと、不整脈を起こしたり、筋肉が急激に壊れる「横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)」という深刻な事態につながる恐れもありますので、副作用を感じたらすぐに漢方を止めましょう。
まとめ
漢方薬は、私たちの体に備わっている自然治癒力を引き出し、根本的な体質改善をサポートしてくれる素晴らしいものです。当薬局でも、一人ひとりの体質に合わせた丁寧な処方と栄養指導を大切にしています。
だからこそ、「漢方だから絶対に副作用はない」と侮るのではなく、「摂り過ぎれば、こういう影の側面もあるんだな」という少しの警戒心と正しい知識を持っておくことが大切です。
もし、今飲んでいる漢方薬の組み合わせに不安がある方や、「これって副作用かな?」と気になる症状がある方は、決して自己判断で放置せず、信頼できる薬剤師や登録販売者、専門の医療機関にいつでもお気軽にご相談ください。
あなたの健康な毎日を、心より応援しております。

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